役員・正社員とパート、アルバイトの違い
役員・正社員とパート、アルバイトは、どのように違うのでしょうか?
役員は、人を雇う側の立場であり、雇われる立場である正社員、パート、アルバイトとは違う立場にあります。
雇われる立場にある正社員、パート、アルバイトは、主に雇用期間と所定労働時間で区分されています。すなわち、正社員が通常は雇用期間の定めがなく、中途退職しなければ定年まで雇用される予定であるのに対して、パートやアルバイトの場合は、数ヶ月または日雇いなどの雇用期間を決めて雇うのが一般的です。さらに、正社員はフルタイムで働くのに対して、パートは正社員より勤務時間を短く設定したり、出勤日を少なくしたりするのが通例です。
法律上のちがい
役員は、会社との契約が委任契約とされ、株主総会で選任の手続きを経なければなりません。役員報酬も、株主総会で決定することとされています(多くの企業では、取締役会に白紙委任を決定)。仮に会社の業績が悪くて、報酬がなかったとしても最低賃金は保障されていません。
これに対して、正社員、パート、アルバイトに対しては、労働基準法で定める最低基準を遵守しなければなりませんし、また就業規則がある場合には、その就業規則の条件もクリアしなければなりません(労働基準法第1条、第93条)。
役員 |
正社員 |
パート |
アルバイト |
|
---|---|---|---|---|
法律上の名称 |
取締役・監査役 | 労働者 | 短時間労働者 | 臨時員 |
会社との契約 |
委任契約 | 雇用契約 | ||
就業規則の適用 |
なし | あり | あり(注1) | あり(注1) |
雇用期間 |
法令と株主総会で任期を決定 | 定めなし(定年制)が多い | 通常は雇用期間あり | 通常は雇用期間あり |
労働者災害補償保険の適用 |
なし | あり | あり | あり |
雇用保険の適用 |
なし | あり | あり(注2) | あり(注2) |
社会保険の適用 |
原則あり | 原則あり | なし(注3) | なし(注3) |
注
- 正社員の就業規則とは別に、パート用、アルバイト用の就業規則を設けている場合が多くあります。
- 雇用保険が適用されるのは、所定労働時間が週20時間以上で、31日以上引き続き雇用されることが見込まれる場合です。
- 社会保険が適用されるのは、次のいずれも満たす労働者です。
- 1日の所定労働時間数が、正社員の4分の3以上であること
- 1週間の所定労働時間数が、正社員の4分の3以上であること
- 雇用期間が2ヶ月を超えていること(2ヶ月以下の期間雇用者が引き続き所定期間を超えて雇用されている場合を含みます。)
<上記のほか、従業員数101名以上の法人の場合、次の要件を満たす者も社会保険が適用されます。>
- 1週間の所定労働時間数が、20時間以上であること
- 雇用期間が1年以上見込まれること
- 賃金の月額が8万8千円以上であること
- 学生でないこと
採用時に気をつけるべき点
正社員を雇う場合と、パート、アルバイトとの違いは、雇用期間が長く、いったん雇うと安易には解雇できなくなることです。ただし、名称はパートやアルバイトであっても、実態が正社員と同様であれば、同様に解雇できなくなります。