貸倒引当金
売掛金、貸付金などの債権には、将来回収不能となった場合に備えて「貸倒引当金」を見込計上することができます。この貸倒引当金には2種類あり、正常債権については「一括評価の貸倒引当金」を、手形交換所取引停止処分などを受けた危険債権については「個別評価の貸倒引当金」を計上できます。
税務上は、貸倒引当金計上額が損金に認められるのは一部の法人に限られています。次の法人以外が計上している貸倒引当金は、税務上は認められません。
1 中小法人等
2 銀行、保険会社その他これらに準ずる法人
3 売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人(上記1,2に該当する法人を除く)
一括評価の貸倒引当金
一括評価の貸倒引当金は、次の金額の範囲内で認められます。
ただし、個人事業主については、事業所得があり、かつ青色申告書を提出する場合だけ認められます。
項目 | 取扱い |
---|---|
対象債権 |
次のうち、個別評価の貸倒引当金の対象債権(次項参照)に該当しないもの |
法人の場合の繰入限度額 |
@原則 |
個人事業主の場合の繰入限度額 |
(対象債権の帳簿価額−実質的に債権とみられない金額)
なお、個人事業主の場合には、事業所得の債権だけが設定対象です。 |
個別評価の貸倒引当金
個別評価の貸倒引当金の計上は、次の繰入要件に応じて認められます。(法人税法施行令96)
項目 | 繰入要件 | 繰入限度額 |
---|---|---|
形式基準 |
その債務者に次の事実が生じている場合 |
(対象債権−実質的に債権とみられない金額−担保権の実行等により取立てが見込める金額)×50% |
長期棚上げによる場合 |
次の事実に基づいて、その債権の弁済が猶予され、又は賦払により弁済される場合 |
対象債権−翌事業年度から5年以内の弁済予定額−担保権の実行等により取立てが見込める金額 |
債務超過の継続等 | その債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、事業に好転の見通しがないこと等により、その債権の一部について取り立て等の見込みがないとき | その一部の金額に相当する金額 |