貸倒れ
取引先の支払能力が悪化し、取立てが困難となった場合でも、貸倒損失の計上は法律上厳しく制限されています。貸倒損失を計上できる主な条件は、
(1)1年以上取引がない場合
(2)取引先が遠隔地にある場合
(3)取引先が法的処理の対象となった場合
のいずれかです。
1年以上取引がない場合
1年以上取引がない場合の貸倒れ損失は、次の要件を満たす場合に認められます。(基通9-6-3)
項目 | 取扱い |
---|---|
対象債権 |
売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権) |
事実要件 |
@〜Bの要件をすべて満たすことが必要です。 |
貸倒損失計上額 | その売掛債権の額から備忘価額(1円以上)を控除した金額 |
留意点 | 事実要件@の取引停止は、継続的な取引を行っていた取引先の支払能力が悪化した場合をいうので、非継続的に、たまたま行った不動産取引については適用しない。 |
取引先が遠隔地にある場合
取引先が遠隔地にある場合の貸倒れ損失は、次の要件を満たす場合に認められます。(基通9-6-3)
項目 | 取扱い |
---|---|
対象債権 |
売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権) |
事実要件 |
@〜Bの要件をすべて満たすことが必要です。 |
貸倒損失計上額 | その売掛債権の額から備忘価額(1円以上)を控除した金額 |
取引先が法的処理の対象となった場合
取引先が法的整理の対象となった場合は、次の順序で債権の処理を行います。
(1)手形交換所取引停止処分、又は更生手続等の「開始の申立て」が行われた時点
→債権の50%分について、貸倒引当金を設定して費用処理します。
(2)更生計画認可の決定等、債務の処理が法的に確定した時点
→債権のうち切り捨てられることとなった部分を貸倒損失とします。
→5年以上の長期間、弁済を棚上げされる場合には、一定の貸倒引当金を設定して費用処理します。
(2)の場合の貸倒損失は、具体的には、次の要件に該当する場合に認められます。(基通9-6-1)
項目 | 取扱い |
---|---|
事実要件 |
次のいずれかに該当すること |
貸倒損失計上額 | 切り捨てられることとなった金額(上記Fの場合は債務免除額) |