売上原価の算定
商品などたな卸資産については、仕入れた時点ではなく、販売した時点で売上原価に計上します。
しかしながら、販売したたな卸資産の原価をその都度計算するのは困難であるので、期末にたな卸を行い、期首棚卸高と仕入高の合計から期末たな卸高を差し引いて、売上原価を算定します。
売上原価=(期首たな卸高+当期仕入高(または当期製品製造原価))−期末たな卸高
なお、個人事業主の場合には、売上原価には自家消費分も含まれることになりますから、売上高にも自家消費分も計上しなければなりません。(所得税法第39条)
この場合の自家消費分の売上高は、通常の売価の70%と仕入価格とを比べて高い方を計上します。
期末たな卸高の計算
期末たな卸高は、その法人又は個人事業主が選定した評価方法に基づいて評価します。
ただし、税務署に選定の届出をした評価方法を用いなかった場合や、評価方法の届出をしていない場合には、法定評価方法として最終仕入原価法により算出した原価法となります。
なお、個人事業主の場合に低価法を選定できるのは、青色申告書を提出している場合に限られます。
項目 | 内容 |
---|---|
原価法 |
次のいずれかの方法により算出した取得価額をもって、期末評価額とする方法 |
低価法 | 期末たな卸資産をその種類の異なるごとに区別し、その種類の同じものについて、原価法評価額と期末時の時価とのいずれか低い価額をもって、期末評価額とする方法 |
特別な評価方法 | 原価法と低価法以外の評価方法により評価しようとするときは、税務署の承認を受けて、特別な評価方法を選定することができます。 |
評価方法の届出
販売商品を取り扱う法人については、設立後、忘れてはならないのは、たな卸資産の評価方法の届出です。たな卸資産の評価方法は、設立初年度の確定申告書の提出期限までに、税務署に届け出ます。(法人税法施行令第29条)
評価方法を変更しようとする場合には、変更後の評価方法を採用する事業年度の開始日の前日まで(※1)に、税務署に変更承認申請書を提出して、その承認を受けなければなりません(法人税法施行令第30条)。なお、現によっている評価方法を選定してから3年を経過していない場合には、特別の事情がない限り、評価方法の変更は承認されません。(基通5-2-19)
※1 個人事業主の場合には、変更後の評価方法を採用する年の3月15日まで(所得税法施行令第101条)