交際費
交際費は、会社が取引先を接待した場合などに使うお金であり、販売活動上必要なものですが、冗費を節約して資本を充実するという政策的見地から損金算入に制限を設けています。このため税務調査などでは、交際費に該当するかしないかについて、重点的に調査が行われます。ただし、個人事業主の交際費については、事業活動に必要であればすべて必要経費に算入できます。
交際費等の範囲と損金不算入
法人の場合には、交際費等は全額、税務上の経費である損金に算入されません。
ただし、交際費等のうち接待飲食費の金額の50%は、損金に算入できます。
また、期末資本金額が1億円以下の法人は、次のいずれか多い額まで損金に算入できます。
@交際費等のうち年800万円までの金額
A交際費等のうち接待飲食費の金額の50%
「交際費等」は、次のように定義されています。(租税特別措置法第64条の4)
項目 | 取扱い |
---|---|
交際費等の定義 |
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。 |
交際費等から除かれるもの |
@福利厚生費
A1人当たり5,000円以下である飲食等のために要する費用(※1)
B広告宣伝費(租税特別措置法施行令第37条の5第1号) カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらの物品を贈与するために通常要する費用
C会議費(租税特別措置法施行令第37条の5第2号)
D取材費(租税特別措置法施行令第37条の5第3号)
E寄附金
F値引き及び割戻し
G給与等 |
※1 この規定は、次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
・飲食等の年月日
・飲食等に参加した者の氏名又は名称及び事業者との関係
・飲食等に参加した者の数
・その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地
・その他参考事項
交際費と類似する費用
交際費と類似する費用との区分は、それぞれ次の通達に詳細に定められています。
項目 | 細目 | 通達 |
---|---|---|
福利厚生費 | − | |
広告宣伝費 | 不特定多数の者への広告宣伝費 | 租通61の4(1)-9 |
現地案内の交通費、食事代 | 租通61の4(1)-17 | |
会議費 | 会議時の飲食物 | 租通61の4(1)-21 |
旅行と合わせて行う会議 | 租通61の4(1)-16 | |
寄附金 | 寄付金と交際費 | 租通61の4(1)-10 |
災害の場合の債務免除、災害見舞金 | ||
値引き、割戻し | 売上割戻(金銭の交付) | 租通61の4(1)-3、6 |
売上割戻(物品の交付、旅行等への招待) | 租通61の4(1)-4 | |
景品の交付 | 租通61の4(1)-5 | |
販売奨励金の交付 | 租通61の4(1)-7 | |
給与等 | 自社従業員への現物給与等 | 租通61の4(1)-12 |
自社又は特約店のセールスマンへの支出 | 租通61の4(1)-13 | |
特約店の従業員への報奨金 | 租通61の4(1)-14 | |
下請企業の従業員への現物給付等 | 租通61の4(1)-18 | |
その他 | 情報提供料、取引のあっせん等 | 租通61の4(1)-8 |
上記のほか、交際費に該当するものが、租通61の4(1)-15に例示されています。