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リース

 リース資産の賃借の中には、法律的には賃貸借の形式をとっていますが、その実質は資産の売買と同等のものもあります。この結果、リース期間をリース資産の耐用年数より大幅に短くして、減価償却費に比べて過大な賃借料を計上することにより租税回避行為を行うことも可能であるため、一定のリース取引については実質に着目して売買とみなすなどの措置が設けられています。

売買として取り扱われる場合

(1)要件
 次の3つの要件を満たすリース取引は、所得計算上、売買とみなされます。(法人税法施行令第136条の3)

要件(いずれも満たすことが必要) 詳細

 @ 賃貸借期間中に、賃貸借契約を解約できないこと

 解約禁止条項がなくとも、賃借人が解約する場合には未経過期間のリース料の90%を負担するものも含まれます(基通12の5-1-1)

 A 賃借人がリース資産からもたらされる経済的利益を実質的に享受でき、リース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされていること

 「費用を実質的に負担すべき」とは、リース料の合計額が、賃借資産の取得価額と付随費用(利子、固定資産税、保険料等)の90%以上となっていることをいいます(基通12の5-1-2)

 B 右記のいずれかに該当すること

 リース期間の終了時又は中途において、リース資産が無償又は名目的な対価の額で賃借人に譲渡されるもの
 リース期間の終了時又は中途において、賃借人にリース資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているもの
 リース資産の種類、用途、設置の状況に照らし、リース資産がその使用期間中賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの
 リース資産の種類、用途、設置の状況に照らし、リース資産の識別が困難であると認められるもの

 リース期間がリース資産の耐用年数に比して相当の差異があるもの(賃借人又は賃貸人の法人税又は所得税の負担を著しく軽減するものと認められるものに限る)
(注)下記「リース料の一部を前払費用として取り扱う場合」も参照

(2)賃借人におけるリース料の取扱い
 リース取引が売買とみなされた場合には、次の通り取り扱われます。
 @ 支払リース料総額と付随費用との合算額を取得価額とみなして、減価償却の計算をします。
 A 毎年支払うリース料は減価償却費として経理したものとされ、過大な部分は損金不算入となります。

リース料の一部を前払費用として取り扱う場合(基通12の5-2-8)

(1)要件
 リース期間が耐用年数よりも相当短い場合でも、次のいずれかのケースは売買として取り扱われません。
 @ 賃借人が適正リース料の額を超える部分のリース料を前払費用として処理したとき。
 A リース期間終了後にリース資産が賃貸人に返還されることが明らかであるもの
(2)適正リース料の算定
 上記@の場合の「適正リース料」は、次の算式により計算します(基通12の5-2-9)
 (リース期間のリース料総額+再リース見込期間の再リース料総額)
  ×その事業年度に含まれるリース期間及び再リース期間の月数/リース期間及び再リース期間の総月数

金銭の貸借として取り扱われる場合

(1)要件
 次の4つの条件を満たすリース取引は、所得計算上、金銭の貸借とみなされます。(法人税法施行令第136条の3)。

要件(いずれも満たすことが必要) 詳細

 @ 賃貸借期間中に、賃貸借契約を解約できないこと

 解約禁止条項がなくとも、賃借人が解約する場合には未経過期間のリース料の90%を負担するものも含まれます(基通12の5-1-1)

 A 賃借人がリース資産からもたらされる経済的利益を実質的に享受でき、リース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされていること

 「費用を実質的に負担すべき」とは、リース料の合計額が、賃借資産の取得価額と付随費用(利子、固定資産税、保険料等)の90%以上となっていることをいいます(基通12の5-1-2)

 B いわゆるリースバックを行うこと

 譲受人から譲渡人に対する賃借を条件に、資産の売買を行う。

 C その賃借に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が金銭の貸し付けであると認められること

(2)賃借人におけるリース料の取扱い
 @ 売却時にリース会社から受け入れた売却代価は、借入金として取り扱います。
 A リース料は、通常の金融取引に準じて、借入金の元本返済額と支払利息に分けてそれぞれ取り扱います。