すっきり解決! 人事と経理の手続きガイド

減価償却できるものとできないもの

 建物や機械、備品など固定資産については、長期にわたって事業の用に供するため、取得した時点で一度に費用にするのではなく、減価償却して使用可能期間に分けて費用配分をしていきます。
 ただし、固定資産の中には、土地など使用または時の経過によってその価値の減少しないものもありますので、これらを減価償却資産と非償却資産に分類し、次の通り償却方法を定めています。

項目 具体例 償却方法
減価償却資産 有形減価償却資産 建物、建物附属設備、機械装置、自動車、航空機、船舶、工具、器具、備品

定率法又は定額法による減価償却

(平成10年4月1日以後に取得した建物は定額法)
無形減価償却資産及び生物 工業所有権(特許権、実用新案権など)、ソフトウエア、営業権 定額法による減価償却
繰延資産(※1) 公共施設負担金、借家権利金 定額法による減価償却
開業費、開発費、試験研究費 任意償却
減価償却できないもの 土地、電話加入権、書画骨とう 減価償却しない

※1 繰延資産は、法人が支出した費用のうちその支出の効果が支出日以後1年以上に及ぶもので一定のものをいいます。従って、自社所有の資産ではありませんが、定額法による減価償却等を行います。

減価償却資産の減価償却の計算

(繰延資産についてはこちら

(1)少額の減価償却資産及び一括償却資産
  備品やパソコンなど比較的少額の減価償却資産については、その減価償却資産を事業の用に供した事業年度に全額経費化できるなどの特例が設けられています。この特例は、法人の資本の規模や青色申告書を提出しているかどうかによって、適用が異なってきます。

法人の種類

使用可能期間が1年未満の減価償却資産 使用可能期間が1年以上の減価償却資産

取得価額
10万円未満

10万円以上
20万円未満

20万円以上
30万円未満

30万円以上
下記以外 事業供用年度に全額損金算入可(※1) 一括償却(※2) 通常の減価償却
青色申告書を提出する中小企業者等

事業供用年度に全額損金算入可(※1)
ただし年間で取得価額累計300万円までの資産が限度となります。

通常の減価償却

(※1) 会社経理上も、その全額を損金経理した場合のみ適用されます。
     (法人税法施行令第133条、租税特別措置法第67条の8)
(※2) 取得価額全額を3年間で、3分の1ずつ均等に償却できます。(法人税法施行令第133条の2)

 

(2)通常の減価償却
  法人の場合には、減価償却資産の償却義務はなく、過大な償却を行わないように償却限度額だけが定められています。これに対して個人事業主については、減価償却資産について償却が強制されます。

資産の種類 償却限度額(個人事業主の場合は償却額)の計算方法
有形減価償却資産 平成10年4月1日以後に取得した建物 定額法(※3)
上記以外 定額法(※3)又は定率法(※4)のうち、法人又は個人事業主が選定した方法 (選定の届出をしていない場合には、法人については定率法、個人事業主は定額法)
無形減価償却資産及び生物 定額法(※3)
特別な償却方法  一定の減価償却資産については、税務署の承認を受けた特別な償却方法(取替法など)を選定することができます。

(※3)取得価額×法定耐用年数に応じた償却率(旧定額法を適用する場合は、取得価額×0.9×法定耐用年数に応じた償却率)
(※4)期首帳簿価額×法定耐用年数に応じた償却率

償却方法の届出

 減価償却資産の償却方法は、設立初年度の確定申告書の提出期限までに、税務署に届け出ます。(法人税法施行令第51条)
 選定した償却方法を変更しようとする場合には、変更後の評価方法を採用する事業年度の開始日の前日まで(※1)に、税務署に変更承認申請書を提出して、その承認を受けなければなりません(法人税法施行令第52条)。なお、現によっている評価方法を選定してから3年を経過していない場合には、特別の事情がない限り、評価方法の変更は承認されません。(基通7-2-4)

 

 ※1 個人事業主の場合には、変更後の評価方法を採用する年の3月15日まで(所得税法施行令第124条)