すっきり解決! 人事と経理の手続きガイド

給料の計算方法

 給料の計算方法は、支給項目から控除項目を差し引いて計算します。このうち、通常の主な支給項目は次のとおりです。
     <通常の主な支給項目の構成>

項目

意義

就業規則での定めかた

労働基準法上の規制

基本給

・期間に応じて支給(月給、日給、時間給)

・又は出来高による(出来高給)

・原則として、期間に応じて定額で支給します。

・休職時には、日割り計算をすることもあります。

次の条件をクリアすることが必要です。

・最低賃金

・出来高払いの保障給

 

諸手当

精勤手当、家族手当等

・要件を満たしたときに、定額で支給するものです

現物給付

通勤定期、食事、社宅の供与等

 

賃金は金銭支給が原則とされています。このため現物給付をするには、厳密には労働協約が必要です。

 

 

時間外手当

時間外勤務をした場合の手当

・時給を計算しこれに割増率を乗じて計算します。

最低でも定額部分の25%割増が必要です。

休日手当

休日に勤務した場合の手当

・日給または時給を計算し、これに割増率を乗じて計算します。

最低でも定額部分の35%割増が必要です。

深夜手当

深夜に勤務した場合の割増手当

・時給を計算しこれに割増率を乗じて計算します。

最低でも定額部分の25%割増が必要です。

定額部分(基本給等)を決定するうえでの留意点

 定額部分は、原則として、就業規則等をもとに決められた金額をそのまま使います。時間外手当のように、毎回計算する必要はありません。ただし、次の事項に留意する必要があります。

項目

留意点

最低賃金

こちら(東京都労働局のホームページ)をご覧下さい。

出来高払い制その他の請負制の場合

事業主は労働時間に応じて一定額の賃金の保障をしなければなりません。(労働基準法第27条)

休日の給与

就業規則の規定によります。

月給制

休日を含めて、1カ月当たり定額で基本給を計算します。

日給月給制

基本給は、勤務日数に1日あたりの単価を掛けて計算します。

 

休職中の給与

就業規則の規定によります。なお、健康保険の傷病手当金、出産手当金が支給される場合に給与を支給すると、その分、手当金が減額となってしますので、注意が必要です

年次有給休暇取得時の給与

次のいずれかによることとされています。

 1 所定労働時間勤務した場合に支払われる通常の賃金
 2 平均賃金
 3 健康保険の標準報酬日額相当額

変動部分(時間外、休日、深夜の割増賃金)の計算の留意点

変動部分である時間外、休日、深夜の割増賃金は、1時間あたりの賃金を算出してから、それぞれ次のとおり計算します。(労働基準法第37条)

給与の形態 1時間あたりの賃金(A)(注1) 時間外手当 休日手当 深夜手当

月給制又は日給月給制

A=月額給与合計額

  ÷1月平均所定労働時間(注2)

A×1.25×時間外勤務時間数

 

(注)割増率1.25は最低値。なお時間外勤務時間数が月60時間超の部分の割増率は1.5が最低値。

A×1.35×休日勤務時間数

 

(注)割増率1.35は最低値

A×0.25×深夜勤務時間数

 

(注)深夜とは、午後10時から午前5時までをいう。

 

(注)時間外又は休日と重なった場合も、「時間外手当」又は「休日手当」に上乗せ

 

(注)割増率0.25は最低値

日給制

A=日額給与÷1日所定労働時間

時給制

A=時間給

出来高給制

A=出来高給÷1カ月の総労働時間

上記のうち2種類以上の組合せ

A=上記それぞれ計算した金額の合計額

<参考>

端数処理

端数処理なし(円未満四捨五入又は切上げも可)

円未満四捨五入又は切上げ

  1. 1時間あたりの賃金には、「家族・通勤手当」、「別居手当」、「子女教育手当」、「住宅手当」、「臨時に支払われた賃金」、「賞与」等は算入しません。なお、割増賃金等の計算の基礎になる賃金に含まれるかどうかは、名称ではなく内容により判断されます。
  2. 1月平均所定労働時間=年間労働日数×所定労働時間÷12月 (端数切捨て、または小数点以下2位未満切捨て)。